ガールズリーダーシッププログラムを実施されたい教育者の方、女の子がいる教育現場で働かれている方、または娘様を持つ親御様がご自宅や教育現場でガールズリーダーシッププログラムを実施されてみたいと思われた際の準備に役立つ情報をブログにしています。
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ファイナンシャル(金融)リテラシー
みなさん、こんにちは! コネクトシスターズのYukiです😊 7月のテーマは「お金」💰 インスタの投稿でもお金について学ぶことができる本が紹介されています📕 今月のブログ記事では、 ①ファイナンシャル(金融)リテラシーとは? ②金融リテラシーは大事? ③ジェンダーと金融リテラシー の3つの視点から、金融リテラシーを考えていこうと思います! ファイナンシャル(金融)リテラシーってなに? ここ数年でよく見聞きするようになった「金融リテラシー」という言葉。日本政府は次のように定義しています。 経済的に自立し、より良い生活を送るために必要なお金に関する知識や判断力のこと (1) 上記の定義では、『お金に関する知識や判断力』となっていますが、OECD(経済協力機構)による定義には、これに「行動」「態度」も加わります。(2) お金に関する知識というと、将来に備えた預貯金や投資のことと思われる方も多いかもしれませんが、決してそれだけではなく、毎日の生活の中に関わるお金のことも含まれます。例えば、ものやサービスを買う、給与をもらう、お金を借りるなど、幅広い意味を持ちます。(1) 実際、金融広報中央委員会が実施している「金融リテラシー調査」の項目にも、ローンや資産形成などの金融知識だけでなく、家計管理や生活設計も含まれています。(3) 金融リテラシーって大事? 「金融リテラシー」は、世界経済フォーラムでも議論された『21世紀スキル(21st century skills)』のひとつにあげられています。(4) また、OECD(経済協力機構)も「金融リテラシー」を必要不可欠な教育のひとつだと位置づけています。(5)このような背景があり、先述したように、日本においても、金融広報中央委員会が「金融リテラシー調査」を2016年から3年ごとに実施しており、教育政策の中で重要とされています。(6)(7) 金融リテラシーに関する研究は国内外で行われいます。ある研究では、金融リテラシーが低いと、負債の蓄積、高コストの借入、住宅ローンの滞納、住宅の差し押さえなどを経験しやすいと報告されています。(5) 日本政府もまた、金融リテラシーが高いと、家計管理がしっかりしている、詐欺や多重債務などの金融トラブルに遭いにくい、経済的に自立し、より良い暮らしを送ることができる、などのメリットを紹介しています。(1) このように、「金融リテラシー」をしっかり持つことは、金銭面のトラブルから身を守るためにも、また、経済的な自立を育てていくためにも、とても重要なスキルだと言えます。 ジェンダーと金融リテラシー 先にも述べた通り、金融リテラシーに関する研究は多く、その一つに金融リテラシーのレベルと個人の特性があります。個人の特性とは、客観的に測ることができもの(年齢、性別、学歴など)のことで、多くの研究がなされています。これらの研究で共通して報告されていることとして以下のものがあります。 女性の「金融リテラシー」の低さは若い世代はもちろん、それ以降の年代でも変わらずないものの(10)、その根本的原因は、いまだに究明されていません。(9)(10) これに関する研究として、BottazziとLusardiが、イタリアの15歳を対象とした研究では、「金融リテラシー」のジェンダーギャップには、両親、特に母親の役割が、女子の「金融リテラシー」に影響を与えることが報告されています。(10) このテーマに関しては、まだ分からないことが多いですが、Blaschkeが述べているように、「金融リテラシー」のジェンダーギャップを理解し、埋めていくことは全体的なジェンダー平等にとって重要なことかもしれません。(8) 日本では現在、金融関連の成人年齢は18歳です。18歳になればクレジットカードを作ることができ、様々な契約を自己決定でできるようになりました。自分できちんとお金の管理ができるように、常日頃から慣れていく必要があるのではないでしょうか。 コネクトシスターズのYoutubeチャンネルでは、お金に関することの動画をアップしています!ぜひ、ご覧ください😊 📕参考文献📕
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LGBTQ+ユースについて
みなさん、こんにちは! コネクトシスターズのYukiです😊 今月(6月)は「プライドマンス(Pride Month)🏳️🌈」ということで、コネクトシスターズのインスタでもLGBTQに関する書籍などを紹介しています! こちらのブログでも、LGBTQ+に関する研究を紹介しながら、若い世代のLGBTQ+(LGBTQ+ youth)の現状を考えていきましょう↓ LGBTQ+のひとはどれくらいいる? 最近、よく耳にするようになったLBGTQという言葉。 「レズビアン (Lesbian)」「バイセクシャル (Bi-sexual)」「ゲイ (Gay)」「トランスジェンダー (Trans-Gender)」「クィア (Queer)」または「クェッショニング (Questioning)」の頭文字をとった用語であることはご存知の方も多いと思います。これに、「LGBTQ+」とプラスマーク(+)をつけた用語を目にすることもあるでしょう。この「+(プラスマーク)」が意味することは、LGBTQにカテゴライズされない人たちが含まれており、例えば、アセクシャル(他者に対して、恋愛感情や性的感情を持たない人)やパンセクシャル(あらゆる性別の人に対して恋愛感情や性的感情を持つ人)など、多様な性を表しています。(1) 電通グループが昨年発表した調査結果によれば、日本のLGBTQ+の当事者は人口のおよそ9.7%とのこと。(2) 内訳では、バイセクシャル/パンセクシャルの割合が高く(3.20%)、続いてゲイ(1.59%)となっています。(2) LGBTQ+ youthの健康について ここからはLGBTQ+の中でも、若い世代(ユース)にフォーカスしていきます。彼らが直面している健康やウェルビーイングに関連する課題を、主に、学術論文をもとに紹介していきます。 メンタルヘルス LGBTQ+ユースのメンタルヘルスに関する研究は、これまでに様々な国において、シスジェンダー(身体の性と性認識が一致している人)やへトロセクシャル(異性に対して、恋愛感情や性的な感情を持つ人)のユースと比較する形で実施されています。これらの研究結果のほとんどで、LGBTQ+ユースの方が、うつ病傾向、自傷行為、自殺行為の割合が、シスジェンダーやへトロセクシャルのユースよりも高いと報告されています。(3)(4)自殺を考える理由としては、社会全体(家族や学校、友人なども含めた)からの偏見や差別があります。(4) 日本では、NPOが実施した、10代も対象とした調査でも、10代のLGBTQ+当事者で自殺を考えた人の割合は、同年代の3.8倍だったと報告があるため、他の国と同じ傾向があるようです。(5) リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康) LGBTQ+とシスジェンダーやへトロセクシャルの格差は、リプロダクティブ・ヘルスの分野にもあると報告されています。(6)特に、レズビアンやバイセクシャルの女性はこの分野の格差を経験しているとされています。海外の調査結果(USA、カナダ、ニュージーランド)では、妊娠を経験したことがあるレズビアンまたはバイセクシャルの女子・女性の割合は、シスジェンダー・へトロセクシャルの女子・女性と比較すると高くなっています。(6)なぜこのような現象が起こるのかはまだまだ分かっていないことが多いですが、性に関する健康リスク(初体験の年齢が早い、性暴力など)を経験していることが一因ではないかと言われています。(6)例えば、レズビアンやバイセクシャルの女性の方が、男性パートナーから性行為を強制されやすいという報告もあります。(6)ここで、この記事を読んでいて、次の疑問に思った人も多いと思います。 「レズビアンなのに、男性パートナーがいる?男性と性行為をする?」 この疑問の答えになるか分かりませんが、レズビアンのアイデンティティーについて少しだけ触れたいと思います。 レズビアンのアイデンティティー Ben Hagaiという研究者によるレビュー(7)では、USAの調査が紹介されています。これによると、レズビアンの若者は、13歳くらいの時に、まず異性(男性)に惹かれ、その数年後(15歳ごろ)に同性(女性)に惹かれ始めるとのことです。(7)そして、およそ18歳くらいで自分がレズビアンであると自己開示すると述べています。(7) また、興味深いことに、女性は男性よりもセクシャリティーが流動的ということも分かっているようです。(7)実際、レズビアンの中でも自分のセクシャリティーが変わらないものだと思っている人もいれば、変わりやすい(流動的)と思っている人もいると報告されています。(7) 上記のような研究結果を見てみると、レズビアンであっても異性に惹かれて、異性のパートナーがいる時期がある人も少なくなく、予期せぬ妊娠や性暴力というリプロダクティブ・ヘルスの課題に直面するのも理解できるのではないでしょうか。 今月は、「プライド月間🏳️🌈」ということで、LGBTQ+ユースの現状について紹介しました。 思春期の時期は、様々な分野の発達段階(脳や認知はもちろん、アイデンティティーやセクシャリティーも)であること、女性はセクシャリティーが流動的ということを考えると、当事者の女の子はとても悩み、考え、葛藤するのではないかと想像します。 もしそのことを打ち明けてきたら、「personalでimportantなこと」として、きちんと向き合うことができたらと思います。 コネクトシスターズのインスタのフォローもお願いします→ @connectsisters 【参考文献】 (1) 日本公共放送(NHK). NHKハートネット「LGBTQ+とは」.Available from: https://heart-net.nhk.or.jp/heart/theme/10/index.html#anchor_1 (2) 電通グループ. LGBTQ+調査2023. 2023. Available from: https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/001046.html (3) McDermott E, Eastham R,…
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Body Image:ボディイメージについて
みなさん、こんにちは!コネクトシスターズのYukiです✨ 5月のテーマは「Body image(ボディイメージ)」 今回のブログでは、日本の若い女性の「Body image(ボディイメージ)」とそれに関わる社会課題にフォーカスしていきます🧐 「Body image(ボディイメージ)」って、なに? 最近、よく耳にするこの言葉。学術論文サイトには以下の定義が紹介されています。 “Body image is a construct that combines estimation of body size with subjective evaluation of the mental image.” (1) これを和訳すると 「ボディイメージとは、身体サイズの推定と心のイメージの主観的評価を組み合わせた構造のことである。」(Google翻訳) この翻訳だと分かりにくいのですが、constructは”psychological construct”(心理的構成概念)と定義している論文もあります。(1) 分かりやすい日本語での説明は、女子栄養大学のホームページに説明があります。 ボディ・イメージは、ヒトが自分自身に対して抱くあらゆる価値観です。 ボディ・イメージは個人の行動変容の基盤となる価値観ですが、身体的・精神的・社会的要因などによって変動し、影響を受けることが知られています。(2) 上記にある3つの要因(身体的・精神的・社会的)のうち、「社会的要因」がどのように日本の若い女性のボディイメージについて考えていきましょう↓ 日本の若い女性のボディイメージ これからは、私自身がメルボルン大学大学院在学中に書いたレポート課題の一部を紹介しながら、日本の女性(特に若い女性)のボディイメージについて考えてみましょう。 日本の若い女性は、どのようなボディイメージを持っていると思いますか?ポジティブなイメージでしょうか?それとも、ネガティブなものでしょうか?私が調べた限り、日本の若い女性はネガティブなボディイメージを持っている人が多いようです。 ある研究結果によると、日本の若い女性は、太ってないにも関わらず、「自分は太っている」と過大評価(overestimate)していると報告されています。(3)(4) これは以下のデータを見ると一目瞭然です。 ネガティブなボディイメージを作り出す要素として、総合的な不満(overall dissatisfaction)と低い自己肯定感にあると言われています。(5) これに関しても、国際比較をされたデータを見ると、日本の若い女性は、他の国(例えば、オーストラリアや中国)の女性よりも、身体への不満が一般的であるし (6)、日本のユース(若者)の自己肯定感も、他国(アメリカや韓国など)に比べると低いです。(7) ネガティブなボディイメージが作られる要因は様々だと思いますが、特にこの2つに注目してみます↓ 思春期は「ルックス(見かけ)文化」(appearance culture)の時期とも言われています。(8) ある日本の研究によれば、10代の女子の32.5%が、友人から身体のことをからかわれた経験(body-related teasing)があるそうです。(9) そして、このような経験をした女子の46.3%が、必要がないにも関わらず、ダイエットをしたという報告もあります。(9) 身体のことをからかうのは友人だけではありません。半数以上(53.8%)の10代が家族から身体のことをからかわれた経験があり、特に女子の方が男子の方より多い(女子は62.4%、男子は38.8%が家族から身体のことを揶揄われた経験がある)という研究結果もあります。(9) 言うまでもなく、SNS(特に、写真をシェアすることがメインのSNS)はボディイメージにネガティブな影響を与えます。(8) 10歳の女子を対象として日本の研究によると、この年齢ですでに、SNSの利用とやせ願望の間には明確な関係性があると報告されています。(10) ボディイメージと関わる社会問題 すでに述べたとおり、日本の若い女性は、そうでないのに「自分は太っている」と思い込み、そして、必要以上に「痩せたい」と願っている傾向があることが分かりました。そう願う女性たちがすることと言えば、ダイエットです。色々な情報にアクセスできる現在、間違った情報に基づいた独自のスタイルでダイエットをしている可能性もあり、このようなダイエット行為は日本の若者(ユース)の危険行為の一つと考えられています。(3) …
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『特権 (privilege)』ってなに?
Hello! コネクトシスターズのYukiです。 4月のテーマは、「特権(Privelege)」 社会的地位がある人や財産や資源をたくさん持っている人だけが持っていると思っていませんか? 実は気づいていないだけで、それぞれ何かしらの「特権」を持っているかもしれません。もしかしたら持っているかもしれない「特権」について考えていきましょう! 「特権(privilege)」とは? まずは、いつものように改めて「特権(privilege)」という言葉の意味を振り替えてみましょう。 デジタル大辞泉によると (1) 特定の身分や地位の人がもつ、他に優越した権利 デジタル大辞泉:特権(とっけん) これに当てはめると、明確な身分制度がない現代の日本においては、身分に基づく「特権」は想像しにくいです(一方、地位による「特権」は心当たりがあるでしょう)。 別の定義もご紹介します。 アメリカにあるライダー大学(Rider University)の教授によって運営されている研究ガイドのWebサイトにおける、「特権」の定義は次のようになります。(2) “(“Privilege” refers to) certain social advantages, benefits, or degrees of prestige and respect that an individual has by virtue of belonging to certain social identity groups.” 和訳してみると 「特定の社会的アイデンティティグループに属していることによって個人が持つ、特定の社会的利点、便益、または名声と尊敬の程度。」(Google翻訳使用) この定義では、「社会的アイデンティティーグループ」という表現を使って、かなり広範囲の人が「特権」を持つ対象としています。 「社会的アイデンティティーグループ」は、民族、人種、ジェンダー、年齢など私たち一人一人が必ず持ち合わせています。例えば、国籍もその一つ。日本に住んでいる多くの人が日本国籍を持っています。そして、みなさんの中には、日本国パスポートを持っている方もいるでしょう。 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、この日本国パスポートは、2018年以降、グローバルパスポートランキングで第1位です。(3) たくさんの国にビザなしで入国できる(観光やトランジットの場合)ことは当たり前ではありません。ビザ取得の流れは、時間も費用もかかることが多く(ビザ代を支払い、様々な書類を提出し、大使館での面接など審査を受けるる等)、観光ビザを取得するのにも、このような長い時間を必要とする国々もあります。日本国パスポートを持つということは、世界的な観点から見ると、「特権」と言えるでしょう。 Intersectionality(交差性)と「特権」 ここで、学問の分野(特に、社会科学系)でよく使われる概念、intersectionality(交差性)を紹介します。 Intersectionality(交差性)という概念は、1989年にKimberle Crenshaw教授が紹介した概念で、最近は社会を分析するツールとしても使われることもあります。 私たちが社会で経験することは、民族・人種・ジェンダー・セクシャリティー・年齢などの個々の社会的位置(英語だと、social location)によって形成されており、これらの社会的位置が「交差」(intersect)しながら、日々の経験、アイデンティティーの形成、そして、社会全体に影響を与えていると考えるのが、intersetionality(交差性)という概念です。(4) 簡単に言えば、同じ女性でも、人種やセクシャリティーによって、社会の中で異なる経験をする、ということになります。 このintersectionality(交差性)が、「特権」とどのように関係しているのでしょうか?National …
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『文化』について
みなさん、こんにちは! コネクトシスターズのYukiです。 2024年3月のテーマは『文化(culture)』 私たちの生活や人生と密接に関わってくるものを改めて考えてみましょう! このブログでは以下の2点に注目しながら、『文化』を考えていきたいと思います↓ ①ジェンダー ②思春期・ユース世代 それでは、まず、一般的に『文化』とは何か?からお話しましょう! 『文化』って何? 当たり前に使いすぎている言葉なのですが、改めてどのように定義されているのか見ていきましょう。 文科庁が策定した「文化芸術の進行に関する基本的な指針」では、『文化』という言葉を、次のように説明しています。 文化は,最も広くとらえると,人間が自然とのかかわりや風土の中で生まれ,育ち,身に付けていく立ち居振る舞いや,衣食住をはじめとする暮らし,生活様式,価値観など,およそ人間と人間の生活にかかわることのすべてのことを意味する。 「文化芸術の進行に関する基本的な指針」文科庁 日本国内だけでなく、国際社会における『文化』の定義ももちろんあります。国連教育化学文化機関(ユネスコ)は、次のように定義しています。 文化とは、特定の社会または社会集団に特有の、精神的、物質的、知的、感情的特徴をあわせたものであり、また、文化とは、芸術・文学だけではなく、生活様式、共生の方法、価値観、伝統及び信仰も含むものであること。 「文化多様性に関する世界宣言(仮訳)」文部科学省 このように比べてみると、使用してる単語や表現方法は違うものの、『文化』は私たちの生活に関わる全てのことだと気づくことができます。 『文化』とジェンダー それでは、ここからは『文化』とジェンダーについて考えていきましょう。 最近では当たり前のように見聞きするようになった言葉「ジェンダー」 多くの皆さんがご存知だとは思いますが、ここでもう一度確認しましょう。 「社会的・文化的に形成された性別」のこと。(略)社会通念や慣習の中には、社会によって作り上げられた「男性像」、「女性像」があり、このような男性、女性の別を「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー/gender)という。「社会的・文化的に形成された性別」は、それ自体に良い、悪いの価値を含むものではなく、国際的にも使われている。 「第5次男女共同参画基本計画」男女共同参画局 この定義の中に、はっきりと「文化的に形成された」と表現されています。そして、『文化』は、ジェンダーに基づく振る舞い、アイデンティティー、役割などに、深く影響を与えます。(1) さて、先ほど述べた『文化』の定義を振り返ってみます。この中で、「生活様式」や「価値観」も『文化』に含まれるとありました。つまり、「生活様式」や「価値観」は、ジェンダーの形成に大きな影響を与えると考えられます。そして、この「生活様式」や「価値観」は、時代と共に変化していることを考えると、世代によってジェンダーが異なることは自然なことと思えるでしょう。 また、『文化』は「風土のなかで」生まれ、育ち、暮らしていくことや「特定の社会または社会集団」という枠組みがあるように、生まれ育った場所もジェンダーに大きな影響を与えます。これは、国レベルだけの話でなく、日本国内の地域性にも当てはまります。日本の中でも、様々な方言や食文化、生活様式があるように、ジェンダーの違いもあると考える方が自然です。 10年ほど前(2015年)の調査で古いデータになってしまいますが、男女共同参画局が実施した調査の中で、「自分の家庭の理想は、『夫が外で働き、妻が家を守る』ことだ。」という質問がありました。(2) 日本全国の結果は、11%の人が「そう思う」と回答しています(男女の回答に大きな差はなく、11.1%の男性、10.8%の女性が「そう思う」と回答)。(2) このデータを都道府県別にみてみると、「そう思う」と回答した人が少なかった県(6.6%)と一番多かった県(14.4%)と違いが明確にあります。(2) もちろん、『文化』だけが、ジェンダーに影響を与えているわけではありません。しかし、『文化』は、言動や振る舞いにおけるジェンダーを最大化することも、最小化することも、さらには取り除くこともできると言われています。(1) 思春期・ユースと文化 「特定の社会または社会集団」という観点から『文化』を分析するとき、「世代」という集団にもフォーカスできると思います。このブログでは、「世代」の中でも、思春期(adolescence)や青年期(youth)と『文化』との関係について、少し考えていきましょう。 まず、どの年齢が思春期や若者に当てはまるかを確認していきましょう。世界保健機関(WHO)の定義によると、次のようになります。 『文化』とのつながりが分かる例が、「社会的世代(social generation)」と呼ばれる枠組みだと思います。これは、Z世代、ミレニアム世代、ベビーブーム世代など、よく耳にする世代別の特徴を表しています。このような用語を使うことで、生まれた年代によって異なる経験をしていることを説明しやすくなります(一方で、ステレオタイプ化されてしまいます)。(4) この「社会的世代(social generation)」は、各世代の社会や文化の発展の中で形成された、文化的アイデンティティーを育むとも考えられています。(4) 今月(2024年3月)、私たちが紹介する『文化』をテーマにしたクラスでは、critical thinkingを使いながら、自分で受け入れる『文化』を決めていこう!と伝えています。 ただ、10代の全般は、ご存じのとおり、第二次性徴期と言われ、身体的・心理的・精神的発達が始まります。社会面の発達も始まり、この頃から、仲間(英語で言う、peer:ピア)の存在が大きくなります。10代前半からすでに、同性の仲間との関係が重要になり(5)、また、仲間からのフィードバックや反応も大事になってきます。(6) このことを考えると、皆さんのお子さんや生徒さんの中には、「周りで流行っているから。」「仲間はずれになりたくないから」という理由で、『文化』を受け入れている可能性もあるでしょう。自分自身が持っている考えと周り(仲間内)で起きていることに葛藤しながら、バランスをとりながら、成長している時期であることも理解し、寄り添っていくことが大切だと思います。 参考文献 (1) Best DL, Williams JE. Gender and culture. In: Oxford University Press eBooks…