• Body Image:ボディイメージについて

    みなさん、こんにちは!コネクトシスターズのYukiです✨ 5月のテーマは「Body image(ボディイメージ)」 今回のブログでは、日本の若い女性の「Body image(ボディイメージ)」とそれに関わる社会課題にフォーカスしていきます🧐 「Body image(ボディイメージ)」って、なに? 最近、よく耳にするこの言葉。学術論文サイトには以下の定義が紹介されています。 “Body image is a construct that combines estimation of body size with subjective evaluation of the mental image.” (1)  これを和訳すると 「ボディイメージとは、身体サイズの推定と心のイメージの主観的評価を組み合わせた構造のことである。」(Google翻訳) この翻訳だと分かりにくいのですが、constructは”psychological construct”(心理的構成概念)と定義している論文もあります。(1) 分かりやすい日本語での説明は、女子栄養大学のホームページに説明があります。 ボディ・イメージは、ヒトが自分自身に対して抱くあらゆる価値観です。 ボディ・イメージは個人の行動変容の基盤となる価値観ですが、身体的・精神的・社会的要因などによって変動し、影響を受けることが知られています。(2) 上記にある3つの要因(身体的・精神的・社会的)のうち、「社会的要因」がどのように日本の若い女性のボディイメージについて考えていきましょう↓ 日本の若い女性のボディイメージ これからは、私自身がメルボルン大学大学院在学中に書いたレポート課題の一部を紹介しながら、日本の女性(特に若い女性)のボディイメージについて考えてみましょう。 日本の若い女性は、どのようなボディイメージを持っていると思いますか?ポジティブなイメージでしょうか?それとも、ネガティブなものでしょうか?私が調べた限り、日本の若い女性はネガティブなボディイメージを持っている人が多いようです。 ある研究結果によると、日本の若い女性は、太ってないにも関わらず、「自分は太っている」と過大評価(overestimate)していると報告されています。(3)(4) これは以下のデータを見ると一目瞭然です。 ネガティブなボディイメージを作り出す要素として、総合的な不満(overall dissatisfaction)と低い自己肯定感にあると言われています。(5) これに関しても、国際比較をされたデータを見ると、日本の若い女性は、他の国(例えば、オーストラリアや中国)の女性よりも、身体への不満が一般的であるし (6)、日本のユース(若者)の自己肯定感も、他国(アメリカや韓国など)に比べると低いです。(7)  ネガティブなボディイメージが作られる要因は様々だと思いますが、特にこの2つに注目してみます↓ 思春期は「ルックス(見かけ)文化」(appearance culture)の時期とも言われています。(8) ある日本の研究によれば、10代の女子の32.5%が、友人から身体のことをからかわれた経験(body-related teasing)があるそうです。(9) そして、このような経験をした女子の46.3%が、必要がないにも関わらず、ダイエットをしたという報告もあります。(9) 身体のことをからかうのは友人だけではありません。半数以上(53.8%)の10代が家族から身体のことをからかわれた経験があり、特に女子の方が男子の方より多い(女子は62.4%、男子は38.8%が家族から身体のことを揶揄われた経験がある)という研究結果もあります。(9) 言うまでもなく、SNS(特に、写真をシェアすることがメインのSNS)はボディイメージにネガティブな影響を与えます。(8) 10歳の女子を対象として日本の研究によると、この年齢ですでに、SNSの利用とやせ願望の間には明確な関係性があると報告されています。(10) ボディイメージと関わる社会問題 すでに述べたとおり、日本の若い女性は、そうでないのに「自分は太っている」と思い込み、そして、必要以上に「痩せたい」と願っている傾向があることが分かりました。そう願う女性たちがすることと言えば、ダイエットです。色々な情報にアクセスできる現在、間違った情報に基づいた独自のスタイルでダイエットをしている可能性もあり、このようなダイエット行為は日本の若者(ユース)の危険行為の一つと考えられています。(3) …

  • 『特権 (privilege)』ってなに?

    Hello! コネクトシスターズのYukiです。 4月のテーマは、「特権(Privelege)」 社会的地位がある人や財産や資源をたくさん持っている人だけが持っていると思っていませんか? 実は気づいていないだけで、それぞれ何かしらの「特権」を持っているかもしれません。もしかしたら持っているかもしれない「特権」について考えていきましょう! 「特権(privilege)」とは? まずは、いつものように改めて「特権(privilege)」という言葉の意味を振り替えてみましょう。 デジタル大辞泉によると (1) 特定の身分や地位の人がもつ、他に優越した権利 デジタル大辞泉:特権(とっけん) これに当てはめると、明確な身分制度がない現代の日本においては、身分に基づく「特権」は想像しにくいです(一方、地位による「特権」は心当たりがあるでしょう)。 別の定義もご紹介します。 アメリカにあるライダー大学(Rider University)の教授によって運営されている研究ガイドのWebサイトにおける、「特権」の定義は次のようになります。(2) “(“Privilege” refers to) certain social advantages, benefits, or degrees of prestige and respect that an individual has by virtue of belonging to certain social identity groups.” 和訳してみると 「特定の社会的アイデンティティグループに属していることによって個人が持つ、特定の社会的利点、便益、または名声と尊敬の程度。」(Google翻訳使用) この定義では、「社会的アイデンティティーグループ」という表現を使って、かなり広範囲の人が「特権」を持つ対象としています。 「社会的アイデンティティーグループ」は、民族、人種、ジェンダー、年齢など私たち一人一人が必ず持ち合わせています。例えば、国籍もその一つ。日本に住んでいる多くの人が日本国籍を持っています。そして、みなさんの中には、日本国パスポートを持っている方もいるでしょう。 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、この日本国パスポートは、2018年以降、グローバルパスポートランキングで第1位です。(3) たくさんの国にビザなしで入国できる(観光やトランジットの場合)ことは当たり前ではありません。ビザ取得の流れは、時間も費用もかかることが多く(ビザ代を支払い、様々な書類を提出し、大使館での面接など審査を受けるる等)、観光ビザを取得するのにも、このような長い時間を必要とする国々もあります。日本国パスポートを持つということは、世界的な観点から見ると、「特権」と言えるでしょう。 Intersectionality(交差性)と「特権」 ここで、学問の分野(特に、社会科学系)でよく使われる概念、intersectionality(交差性)を紹介します。 Intersectionality(交差性)という概念は、1989年にKimberle Crenshaw教授が紹介した概念で、最近は社会を分析するツールとしても使われることもあります。 私たちが社会で経験することは、民族・人種・ジェンダー・セクシャリティー・年齢などの個々の社会的位置(英語だと、social location)によって形成されており、これらの社会的位置が「交差」(intersect)しながら、日々の経験、アイデンティティーの形成、そして、社会全体に影響を与えていると考えるのが、intersetionality(交差性)という概念です。(4) 簡単に言えば、同じ女性でも、人種やセクシャリティーによって、社会の中で異なる経験をする、ということになります。 このintersectionality(交差性)が、「特権」とどのように関係しているのでしょうか?National …

  • 『文化』について

    みなさん、こんにちは! コネクトシスターズのYukiです。 2024年3月のテーマは『文化(culture)』 私たちの生活や人生と密接に関わってくるものを改めて考えてみましょう! このブログでは以下の2点に注目しながら、『文化』を考えていきたいと思います↓ ①ジェンダー ②思春期・ユース世代 それでは、まず、一般的に『文化』とは何か?からお話しましょう! 『文化』って何? 当たり前に使いすぎている言葉なのですが、改めてどのように定義されているのか見ていきましょう。 文科庁が策定した「文化芸術の進行に関する基本的な指針」では、『文化』という言葉を、次のように説明しています。 文化は,最も広くとらえると,人間が自然とのかかわりや風土の中で生まれ,育ち,身に付けていく立ち居振る舞いや,衣食住をはじめとする暮らし,生活様式,価値観など,およそ人間と人間の生活にかかわることのすべてのことを意味する。 「文化芸術の進行に関する基本的な指針」文科庁 日本国内だけでなく、国際社会における『文化』の定義ももちろんあります。国連教育化学文化機関(ユネスコ)は、次のように定義しています。 文化とは、特定の社会または社会集団に特有の、精神的、物質的、知的、感情的特徴をあわせたものであり、また、文化とは、芸術・文学だけではなく、生活様式、共生の方法、価値観、伝統及び信仰も含むものであること。 「文化多様性に関する世界宣言(仮訳)」文部科学省 このように比べてみると、使用してる単語や表現方法は違うものの、『文化』は私たちの生活に関わる全てのことだと気づくことができます。 『文化』とジェンダー それでは、ここからは『文化』とジェンダーについて考えていきましょう。 最近では当たり前のように見聞きするようになった言葉「ジェンダー」 多くの皆さんがご存知だとは思いますが、ここでもう一度確認しましょう。 「社会的・文化的に形成された性別」のこと。(略)社会通念や慣習の中には、社会によって作り上げられた「男性像」、「女性像」があり、このような男性、女性の別を「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー/gender)という。「社会的・文化的に形成された性別」は、それ自体に良い、悪いの価値を含むものではなく、国際的にも使われている。 「第5次男女共同参画基本計画」男女共同参画局 この定義の中に、はっきりと「文化的に形成された」と表現されています。そして、『文化』は、ジェンダーに基づく振る舞い、アイデンティティー、役割などに、深く影響を与えます。(1) さて、先ほど述べた『文化』の定義を振り返ってみます。この中で、「生活様式」や「価値観」も『文化』に含まれるとありました。つまり、「生活様式」や「価値観」は、ジェンダーの形成に大きな影響を与えると考えられます。そして、この「生活様式」や「価値観」は、時代と共に変化していることを考えると、世代によってジェンダーが異なることは自然なことと思えるでしょう。 また、『文化』は「風土のなかで」生まれ、育ち、暮らしていくことや「特定の社会または社会集団」という枠組みがあるように、生まれ育った場所もジェンダーに大きな影響を与えます。これは、国レベルだけの話でなく、日本国内の地域性にも当てはまります。日本の中でも、様々な方言や食文化、生活様式があるように、ジェンダーの違いもあると考える方が自然です。 10年ほど前(2015年)の調査で古いデータになってしまいますが、男女共同参画局が実施した調査の中で、「自分の家庭の理想は、『夫が外で働き、妻が家を守る』ことだ。」という質問がありました。(2) 日本全国の結果は、11%の人が「そう思う」と回答しています(男女の回答に大きな差はなく、11.1%の男性、10.8%の女性が「そう思う」と回答)。(2) このデータを都道府県別にみてみると、「そう思う」と回答した人が少なかった県(6.6%)と一番多かった県(14.4%)と違いが明確にあります。(2) もちろん、『文化』だけが、ジェンダーに影響を与えているわけではありません。しかし、『文化』は、言動や振る舞いにおけるジェンダーを最大化することも、最小化することも、さらには取り除くこともできると言われています。(1) 思春期・ユースと文化 「特定の社会または社会集団」という観点から『文化』を分析するとき、「世代」という集団にもフォーカスできると思います。このブログでは、「世代」の中でも、思春期(adolescence)や青年期(youth)と『文化』との関係について、少し考えていきましょう。 まず、どの年齢が思春期や若者に当てはまるかを確認していきましょう。世界保健機関(WHO)の定義によると、次のようになります。 『文化』とのつながりが分かる例が、「社会的世代(social generation)」と呼ばれる枠組みだと思います。これは、Z世代、ミレニアム世代、ベビーブーム世代など、よく耳にする世代別の特徴を表しています。このような用語を使うことで、生まれた年代によって異なる経験をしていることを説明しやすくなります(一方で、ステレオタイプ化されてしまいます)。(4) この「社会的世代(social generation)」は、各世代の社会や文化の発展の中で形成された、文化的アイデンティティーを育むとも考えられています。(4) 今月(2024年3月)、私たちが紹介する『文化』をテーマにしたクラスでは、critical thinkingを使いながら、自分で受け入れる『文化』を決めていこう!と伝えています。 ただ、10代の全般は、ご存じのとおり、第二次性徴期と言われ、身体的・心理的・精神的発達が始まります。社会面の発達も始まり、この頃から、仲間(英語で言う、peer:ピア)の存在が大きくなります。10代前半からすでに、同性の仲間との関係が重要になり(5)、また、仲間からのフィードバックや反応も大事になってきます。(6) このことを考えると、皆さんのお子さんや生徒さんの中には、「周りで流行っているから。」「仲間はずれになりたくないから」という理由で、『文化』を受け入れている可能性もあるでしょう。自分自身が持っている考えと周り(仲間内)で起きていることに葛藤しながら、バランスをとりながら、成長している時期であることも理解し、寄り添っていくことが大切だと思います。 参考文献 (1) Best DL, Williams JE. Gender and culture. In: Oxford University Press eBooks…

  • コンセント (consent):2024年2月

    皆さん、こんにちは!コネクトシスターズのYukiです。 今日のテーマは、「consent:コンセント(同意)」 例えば、informed consent(インフォームド・コンセント)。病院などの医療機関でよく使われる言葉になっています。こちらは、医療行為を受ける前に、医師や看護師から十分に説明を受け、内容に納得してから同意する、と言う意味です。(1) さて、今回の「コンセント(同意)」は、「性的同意(sexual consent)」 一緒に考えていきましょう! 「性的同意(sexual consent)」って、なに? そもそも「性的同意(sexual consent)」の意味はなんでしょうか? 日本政府によると、性的同意の定義は以下の通りになります: 「性的同意とは、性的な行為に対して、お互いの気持ちをしっかり確認しあうことです。断れない状態や立場を利用しての行為は、同意があったとは言えません。また、相手が配偶者や交際相手であっても同じように同意が必要となります。」 政府広報オンライン (2) 「性的な行為 (sexual consent)」とは、性行為のことだけではありません。手を繋ぐ、キスをする、抱きつくなどの行為も含まれます。また、一度同意したからと言って、それ以降ずっと同意したことになるということではありません。(3)(4) 「性的同意 (sexual consent)」に関する現状:日本国内では?他の国では? 言葉の意味が分かってきたところで、どういう現状なのか確かめていきましょう。今回は、日本国内と海外の現状を探ってみます。 まずは、日本国内。ご存知の方も多いかもしれませんが、昨年(2023年)、性犯罪関係の法改正がありました。主な改正点は、性的同意年齢。これが「13歳」から「16歳未満」に引き上げられました。また、相手が13歳以上16歳未満の場合は、行為をした人が5歳以上年長のときに処罰の対象となります。(5) この法改定の少し前から、教育面での動きもありました。文部科学省は、性暴力や性犯罪対策のために、学校における「生命の安全教育」を推進しており、2021年度〜2023年度を目処に、学校での浸透を目指しています。(6) 文部科学省が公開している指導の手引きを見てみると、指導内容は全部で9テーマありますが、そのうち7つは性暴力や性犯罪に関するテーマになっています。(7) この教材に関しては、識者からは批判的な意見(例えば、ネガティブな情報ばかり与えることで、性的同意の意味を曖昧にしている、など)もあり(6)、日本では、学校での「コンセント」の伝え方・教え方もまだ発展中かもしれません。 それでは、他の国はどうなのでしょうか? 今回はオーストラリアの状況をご紹介します。 オーストラリアでは、近年、ニュー・サウス・ウェールズ州やヴィクトリア州において、Affirmative Consent Law(積極的同意に関する法)を制定、施行しています。(8) ヴィクトリア州は、Affirmative Consentを以下のように説明しています。 “The (affirmative consent) model will make it clear that everyone has a responsibility to get consent before engaging in sexual activity.” (日本語訳)「この(積極的性的同意)モデルは、誰もが性行為を行う前に同意を得る責任があることを明確にします。」 Premier of…

  • CSを応援してくださる方インタビュー:ブレンダ教授

    コネクトシスターズを応援してくださる方のインタビュー(ブレンダ教授)