『文化』について

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みなさん、こんにちは!

コネクトシスターズのYukiです。

2024年3月のテーマは『文化(culture)』

私たちの生活や人生と密接に関わってくるものを改めて考えてみましょう!

このブログでは以下の2点に注目しながら、『文化』を考えていきたいと思います↓

①ジェンダー

②思春期・ユース世代

それでは、まず、一般的に『文化』とは何か?からお話しましょう!

『文化』って何?

当たり前に使いすぎている言葉なのですが、改めてどのように定義されているのか見ていきましょう。

文科庁が策定した「文化芸術の進行に関する基本的な指針」では、『文化』という言葉を、次のように説明しています。

文化は,最も広くとらえると,人間が自然とのかかわりや風土の中で生まれ,育ち,身に付けていく立ち居振る舞いや,衣食住をはじめとする暮らし,生活様式,価値観など,およそ人間と人間の生活にかかわることのすべてのことを意味する。

「文化芸術の進行に関する基本的な指針」文科庁

日本国内だけでなく、国際社会における『文化』の定義ももちろんあります。国連教育化学文化機関(ユネスコ)は、次のように定義しています。

文化とは、特定の社会または社会集団に特有の、精神的、物質的、知的、感情的特徴をあわせたものであり、また、文化とは、芸術・文学だけではなく、生活様式、共生の方法、価値観、伝統及び信仰も含むものであること。

「文化多様性に関する世界宣言(仮訳)」文部科学省

このように比べてみると、使用してる単語や表現方法は違うものの、『文化』は私たちの生活に関わる全てのことだと気づくことができます。

『文化』とジェンダー

それでは、ここからは『文化』とジェンダーについて考えていきましょう。

最近では当たり前のように見聞きするようになった言葉「ジェンダー」

多くの皆さんがご存知だとは思いますが、ここでもう一度確認しましょう。

「社会的・文化的に形成された性別」のこと。(略)社会通念や慣習の中には、社会によって作り上げられた「男性像」、「女性像」があり、このような男性、女性の別を「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー/gender)という。「社会的・文化的に形成された性別」は、それ自体に良い、悪いの価値を含むものではなく、国際的にも使われている。

第5次男女共同参画基本計画」男女共同参画局

この定義の中に、はっきりと「文化的に形成された」と表現されています。そして、『文化』は、ジェンダーに基づく振る舞い、アイデンティティー、役割などに、深く影響を与えます。(1)

さて、先ほど述べた『文化』の定義を振り返ってみます。この中で、「生活様式」や「価値観」も『文化』に含まれるとありました。つまり、「生活様式」や「価値観」は、ジェンダーの形成に大きな影響を与えると考えられます。そして、この「生活様式」や「価値観」は、時代と共に変化していることを考えると、世代によってジェンダーが異なることは自然なことと思えるでしょう。

また、『文化』は「風土のなかで」生まれ、育ち、暮らしていくことや「特定の社会または社会集団」という枠組みがあるように、生まれ育った場所もジェンダーに大きな影響を与えます。これは、国レベルだけの話でなく、日本国内の地域性にも当てはまります。日本の中でも、様々な方言や食文化、生活様式があるように、ジェンダーの違いもあると考える方が自然です。

10年ほど前(2015年)の調査で古いデータになってしまいますが、男女共同参画局が実施した調査の中で、「自分の家庭の理想は、『夫が外で働き、妻が家を守る』ことだ。」という質問がありました。(2) 日本全国の結果は、11%の人が「そう思う」と回答しています(男女の回答に大きな差はなく、11.1%の男性10.8%の女性が「そう思う」と回答)。(2) このデータを都道府県別にみてみると、「そう思う」と回答した人が少なかった県(6.6%)と一番多かった県(14.4%)と違いが明確にあります。(2)

もちろん、『文化』だけが、ジェンダーに影響を与えているわけではありません。しかし、『文化』は、言動や振る舞いにおけるジェンダーを最大化することも、最小化することも、さらには取り除くこともできると言われています。(1)

思春期・ユースと文化

「特定の社会または社会集団」という観点から『文化』を分析するとき、「世代」という集団にもフォーカスできると思います。このブログでは、「世代」の中でも、思春期(adolescence)や青年期(youth)と『文化』との関係について、少し考えていきましょう。

まず、どの年齢が思春期や若者に当てはまるかを確認していきましょう。世界保健機関(WHO)の定義によると、次のようになります。

  • 思春期(adolescence):10〜19歳
  • 青年期(youth):15~24歳

『文化』とのつながりが分かる例が、「社会的世代(social generation)」と呼ばれる枠組みだと思います。これは、Z世代、ミレニアム世代、ベビーブーム世代など、よく耳にする世代別の特徴を表しています。このような用語を使うことで、生まれた年代によって異なる経験をしていることを説明しやすくなります(一方で、ステレオタイプ化されてしまいます)。(4) この「社会的世代(social generation)」は、各世代の社会や文化の発展の中で形成された、文化的アイデンティティーを育むとも考えられています。(4)

今月(2024年3月)、私たちが紹介する『文化』をテーマにしたクラスでは、critical thinkingを使いながら、自分で受け入れる『文化』を決めていこう!と伝えています。

ただ、10代の全般は、ご存じのとおり、第二次性徴期と言われ、身体的・心理的・精神的発達が始まります。社会面の発達も始まり、この頃から、仲間(英語で言う、peer:ピア)の存在が大きくなります。10代前半からすでに、同性の仲間との関係が重要になり(5)、また、仲間からのフィードバックや反応も大事になってきます。(6) このことを考えると、皆さんのお子さんや生徒さんの中には、「周りで流行っているから。」「仲間はずれになりたくないから」という理由で、『文化』を受け入れている可能性もあるでしょう。自分自身が持っている考えと周り(仲間内)で起きていることに葛藤しながら、バランスをとりながら、成長している時期であることも理解し、寄り添っていくことが大切だと思います。

参考文献

(1) Best DL, Williams JE. Gender and culture. In: Oxford University Press eBooks [Internet]. 2019. p. 235–91.  https://doi.org/10.1093/oso/9780190679743.003.0009 

(2) 内閣府男女共同参画局. 地域における女性の活躍意識調査. [Internet]. 2015. https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/chiiki_ishiki.html 

(3) Patton GC, Sawyer SM, Santelli JS, Ross DA, Afifi R, Allen NB, et al. Our future: a Lancet commission on adolescent health and wellbeing. Lancet (London, England). 2016;387(10036):2423–78. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27174304 

(4) White, R., Wyn, J., & Robards, B. Young People and Social Change. In: Youth and society. Oxford University Press; 2017. P. 3-31.

(5) Bennet D.L. & Robards, F. What is adolescence and who are adolescents? In: M. Kang, R. Skinner, L. Sanci, & S. Sawyer, editors. Youth Health and Adolescent Medicine. Melbourne: IP Communications. 2013. p. 3-19

(6) Choukas‐Bradley S, Roberts SR, Maheux AJ, Nesi J. The Perfect Storm: A Developmental–Sociocultural Framework for the role of Social Media in adolescent girls’ body image concerns and Mental health. Clinical Child and Family Psychology Review. 2022 Jul 16;25(4):681–701. 

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